カンボジアで籾殻バイオ炭のJCM実装化に向けたFSを開始
経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択・交付決定
― 日本工営、関西産業、ALCEDOと連携し、AWD・バイオ炭・dMRVの統合モデルを検討 ―
バッタンバン州で、籾殻由来バイオ炭の製造・農地施用・JCM MRVを検証。並行する農林水産省採択のAWD/dMRV FSと連携し、同一圃場での「AWD × Biochar × dMRV」による農業生産性向上、GHG削減・炭素固定、適用可能な制度・方法論に基づくカーボンクレジット創出を目指します。
アジアゲートウェイ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木村友則、以下「アジアゲートウェイ」)は、当社が提案した「カンボジア王国/籾殻熱分解バイオ炭の製造・施肥およびJCMバイオ炭MRV方法論実装化調査事業」が、経済産業省の「令和7年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」に採択され、2026年9月18日に交付決定を受けたことをお知らせします。採択日は2026年6月30日です。
本事業は、カンボジア王国バッタンバン州を対象に、精米工程から発生する籾殻を熱分解によってバイオ炭へ転換し、農地への施用、MRV(測定・報告・検証)、JCMクレジット化を見据えた一連のバリューチェーンの商業実装可能性を検証するフィージビリティスタディ(FS)です。原料供給、熱分解技術、バイオ炭品質、施用効果、MRV方法論、国際標準との整合性、制度、事業性を横断的に検証し、次段階の実証・商業化に必要な技術・経済・制度要件を明確化します。
本事業の4つの実装テーマ

1. JCMバイオ炭方法論の実案件への適用・デジタル化
日本工営株式会社が経済産業省の委託調査で検討を進めるJCMバイオ炭方法論案を基礎として、カンボジアの実案件への適用要件を具体化します。籾殻由来バイオ炭に必要となる原料管理、製造条件、炭素固定量の算定、施用地管理等を検討するとともに、AWD等の温室効果ガス削減活動との二重計上を回避するMRV設計を進めます。
さらに、方法論の実案件への適用とデジタルMRVへの展開を見据え、アジアゲートウェイが開発するGIPP(Green Intelligence & Provenance Platform)と連動し、計測、証憑管理、算定、検証に必要なデータを一貫して管理するデジタルMRVの実装を目指します。GIPPは、JCMにおける妥当性確認・検証およびクレジット発行手続に必要なデータ・証憑を一貫して整備・管理するデジタル基盤として機能します。
2. 関西産業・ALCEDOの熱分解技術をカンボジアで検証
籾殻は灰分・シリカ含有量が高く、安定した品質のバイオ炭を製造するためには、原料特性に対応した熱分解条件、装置設計、品質管理が重要です。本事業では、関西産業株式会社と株式会社アルチェード(ALCEDO)の2社について、カンボジア産籾殻への技術適合性を並行して検証します。
関西産業については、同社の炭化・熱分解技術を対象に、籾殻の連続処理、製造安定性、バイオ炭品質、精米所への設備併設可能性等を検討します。ALCEDOについては、過熱水蒸気を活用した熱分解技術を対象に、籾殻の熱分解特性、装置仕様、現地運用への適合性等を検証します。
両社の技術について、製造能力、エネルギー効率、バイオ炭品質、設置条件、保守性、経済性等を比較評価し、カンボジアの精米所に適した、日本企業の熱分解技術を活用する現地実装モデルを検討します。単なる設備輸出ではなく、熱分解装置をGIPPのデジタルMRV基盤と連携させることで、「設備 × バイオ炭品質 × トレーサビリティ × MRV」を一体化した海外展開モデルの確立を目指します。
3. GIPPによる原料から農地までのデジタルMRV
GIPPを活用し、農家ID、農地ID、籾殻・バイオ炭の原料/製品ロットID、熱分解設備の運転データ、バイオ炭品質、輸送・保管、農地施用、炭素量算定等のEvidenceを紐付けます。改ざん耐性・監査可能性の高いデータ管理により、原料から農地までのトレーサビリティを確保し、将来的には「日本発・籾殻バイオ炭MRVパッケージ」として他国・他地域への展開を目指します。
RICE HUSK → PYROLYSIS → BIOCHAR → FIELD → EVIDENCE → MRV → CARBON VALUE
4. 農林水産省採択AWD/dMRV FSとの連携・統合検討:同一圃場で「AWD × Biochar × dMRV」
アジアゲートウェイは、本事業と並行して、農林水産省「農業分野の脱炭素技術の海外展開支援対策委託事業(令和7年度補正予算)」における実現可能性調査(FS)の採択事業として、同じバッタンバン州でAWD(Alternate Wetting and Drying:間断灌漑)の実装およびdMRVに関する調査を実施しています。本FSでは、AWDの実装と、水位センサー・衛星観測データを組み合わせたdMRVの構築可能性を検証します。
今後、AWDを実施する圃場と本事業で検討する籾殻由来バイオ炭の施用圃場を可能な限り同一圃場とし、両者を統合した農業モデルを検証する方向で検討しています。AWDによる水管理の高度化・水田由来メタン(CH₄)排出削減と、バイオ炭による土壌改良・炭素固定を組み合わせ、農業生産性向上と気候価値創出の両立を目指します。
AWDのdMRVでは、水田に設置する水位センサーと衛星観測データを組み合わせます。水位センサーにより圃場の湛水・落水状態を継続的に計測し、衛星データにより作付・植生・湛水状況等を広域的に推定・補完することで、AWDの実施状況をデジタル証憑化します。これらのデータをGIPPに統合し、GHG削減量の算定・検証を支えるスケーラブルなdMRV基盤の構築を目指します。
WATER-LEVEL SENSOR + SATELLITE → GIPP → MRV → CLIMATE VALUE
※ 同一圃場でのAWDとバイオ炭の統合は、FSにおいて技術的・農学的・方法論的な適合性を検証し、両活動の算定境界・ベースライン・帰属を明確化して二重計上を回避することを前提とします。
同一圃場で「GHG削減」と「炭素固定」を統合評価
AWDは、水田由来のメタン排出削減による「Emission Reduction」を目指し、バイオ炭は、バイオマス由来炭素を安定的に土壌へ貯留することで、炭素固定および将来的な炭素除去価値の創出可能性を検証します。両活動のMRV境界、算定対象、ベースライン、帰属を明確に区分し、二重計上を回避した上で、AWDによるGHG排出削減価値とバイオ炭による炭素固定・炭素除去価値の可能性をそれぞれ評価し、適用可能な制度・方法論に基づくカーボンクレジット創出を目指します。
さらに、AWDによる適切な水管理とバイオ炭施用による土壌環境改善を組み合わせ、単収向上、農業投入コストの最適化、農家所得向上の可能性を検証します。クレジットを目的化するのではなく、「より良い農業を実践した結果として生まれるClimate Valueを農家へ還元する」ことを基本思想とします。

バッタンバン州の籾殻を地域資源へ
バッタンバン州はカンボジア有数の米産地であり、精米工程から大量の籾殻が発生します。本事業では、籾殻を地域資源として高付加価値化し、「Rice Husk → Biochar → Soil → Carbon Value」という循環型バリューチェーンへの転換を検証します。
将来的には、AWD・バイオ炭・dMRVを統合した農業モデルをバッタンバン州で実装し、農業生産性、GHG削減、炭素固定、農家所得向上を一体で評価できるモデルを確立するとともに、カンボジア国内の主要米産地および他のアジア米生産国への横展開を目指します。

関連リンク
・特設ホームページ:https://r7h-gs-hojo-web-fspoc.jp/
・採択結果:https://r7h-gs-hojo-web-fspoc.jp/assets/files/saitaku/saitakukekka_260630.pdf
アジアゲートウェイ株式会社について
アジアゲートウェイ株式会社(Asian Gateway Corporation)は、再生可能エネルギー、水素、SAF、カーボンクレジット、デジタルMRV、ブレンドファイナンス等を組み合わせ、アジア・南米を中心に脱炭素事業の組成・実装を行うGXインテグレーターです。JCM(二国間クレジット制度)をはじめ、国際的な炭素市場と民間資金を活用した脱炭素事業を推進しています。

本件に関するお問い合わせ
アジアゲートウェイ株式会社
担当:岡部、若月
E-mail:info@asiangateway.co.jp



